こーめーの手記① 一色いろはの考える本物とは

こーめーが俺ガイルに残る謎(?)について、自分なりの解釈をまったりと綴っていくサイトです。俺ガイルで考えたくなる発言や一文にフォーカスして、文章にまとめた物です。

読む際は以下の2点に注意して欲しいです。

第一に、これは解釈サイトです。ネタバレにもなりますし、ここに書いてあることが絶対的な真実ではありません。

第二に、読者の皆さんが持っている素敵な独自解釈を、歪めてしまう可能性があります。読む前に自分なりの解釈をふわっとした形でも良いので用意して、共感できるところはして頂いて、異論があるところについてはその反対意見を大切に持っておいて欲しいです。

前置きが長くなりましたが、お付き合い頂けると嬉しいです。

第一の手記:一色いろはの考える本物とは

記念すべき第一の手記では、いろはの考える「本物」について考えたいと思います。

一色いろはと言えば、いろはす。あざと可愛い世界の後輩。

俺ガイルの中でも屈指の人気を誇るキャラですね。

おそらくこんな解釈を読もうと思っている皆さんなら、いろはの魅力なんて私が改めて言うまでもなく、分かっていらっしゃると思うので、早速解釈の方へと移りたいと思います。

まずいろはの考える「本物」を考えるにあたって、私なりにポイントを2つ用意してみました。

☆読み解くポイント

⑴「本物」について、実際に奉仕部でなされた会話

⑵葉山のいろはに関する発言

この2点を軸に考えていきます。

⑴「本物」について、実際に奉仕部でなされた会話

まずいろはの考える「本物」を考えるにあたって確認すべきは、いろはが八幡の考える「本物」についてどれほど知っているかです。

私たちは原作やアニメでの独白で、八幡の心の中での独白を含めて一部始終を知っていますが、当然いろはは声に出された範囲でしか知ることができません。さらに言うと、いろはが偶然聞いていた範囲でしか知ることができません。

では仮にいろはが全て聞いていたとすると、どこまで知りうるのかいま一度確認します。

〜実際の会話(原作準拠)〜

「ゆきのん、言わなかったじゃん……。言ってくれなきゃわかんないことだって、あるよ」

「……あなただって言わなかった。ずっと取り繕った会話ばかりしていた」

「だから、あなたが、あなたたちが望んでいるならって、そう」

「……言わないと分からない、か」

「でも、言われてもわかんねぇ事だってあるだろ」

「そんなこと……」

「……言われても、たぶん俺はそれに納得できないと思う。なんか裏があるんじゃないかって、事情があるからそう言ってるんじゃないかって勝手に考えるかもしれない」

「でも、そのぶんちゃんと話せば、ヒッキーともっと話せば、あたしは……」

「そうじゃないんだ」

「言ったからわかるってのは傲慢なんだよ。言った本人の自己満足、言われた奴の思い上がり……、いろいろあって、話せば必ず理解し合えるってわけじゃない。だから、言葉が欲しいんじゃないんだ」

「だけど、言わなかったらずっとわかんないままだよ……」

「そうだな……。言わなくてもわかるっていうのは、幻想だ。でも……。でも、俺は……」

「それでも、俺は……俺は、本物が欲しい」

9巻 pp.250.

八幡の考える「本物」。それは「相手の考えることを完全に理解すること」であり、かつ「お互いがそう思える」関係性でした。

ですがそれは心の中での独白として語られているだけで、いろはは八幡の考える「本物」の内容を完全に知ることはできません。いろはが知ることができたのは話された部分のみ。

その部分だけを要約すると①「本音を隠し、関係が壊れないように取り繕った会話をする。そんな欺瞞の関係を許容していた」、②「話せば必ずわかる訳では無い。だから言葉が欲しいのではない」、③「言わなくても分かるというのは幻想。それでも本物が欲しい」という感じになるかと思います。

私は①こそが、いろはが考える「本物」に対する考え方の中心になったのではないか、そう考えています。

すなわち、八幡の考える「本物」とは少し違った形になる訳ですが、いろはがディスティニーランドで失恋した後の八幡での会話に、その可能性が指摘されています。

〜失恋後の八幡との会話〜

「……わたしも、本物が欲しくなったんです」

「だから、今日踏み出そうって思ったんです」

彼女がいったいどんな本物を願ったのかは知らない。それが俺が抱いた幻想と同じものだとはかぎらない。そもそも、そんなものがあるかもわからない。だが、一色いろはは確かに願ったのだ。

9巻 pp.361.

いろはは私も本物が欲しくなったと告白しましたが、八幡はその姿勢を認めつつも、自分が抱いた幻想(本物)と同値であるかはわからないとしています。

これだけではまだ論拠として弱いかもしれませんので、さらなる根拠として⑵を挙げたいと思います。

⑵いろはに関する葉山の発言

2つ目のポイントは、いろはに関する葉山の発言の変化です。葉山は「本物が欲しく」なる前のいろはを、八幡以上に知っていると言っても過言ではありません。

その葉山の発言に注目することで、実際の変化からいろはの描いた「本物」とは何か、を逆算することも可能ではないかと私は思います。

では実際に見ていきます。まず「本物」を求める前のいろはに関する発言として、8巻で八幡と葉山が、折本と仲町と共にデートした時の発言が挙げられます。

〜いろはに対する葉山の考え〜

「いろはも、君にはああいう姿を見せるんだな……」

「……俺に限らずだけど、いろははいろんな人に、可愛い自分を見せたがる。たぶん彼女の中で、自分のイメージがちゃんとあって、それを守っているんだ。きっと愛されたいんだろうな。だから、素を見せるのは珍しいよ」

8巻 pp.178.

ここから分かるのは、以前のいろはは人に対して本当の自分ではなく、愛されるために作った自分を演じていたということです。

本音を言ってしまえば、本当の自分をさらせば、好意を持って貰えないのではないか、反感を持たれるのではないか、今の関係が壊れてしまうのではないかと考え、愛される自分を演じていたのだと思います。

かしこガールの歌詞にも、「スマイルですり抜けて行っちゃえ。結果オーライなら良いじゃん!」とあり、本音を隠して笑顔でその場を誤魔化し、結果が良ければなんの問題もない、と割り切っていた以前のいろはの考え方が見え隠れしています。

これは①の「本音を隠し、関係が壊れないように取り繕った会話をする。そんな欺瞞の関係を許容していた」という点に通じるものがあります。ここで「本物が欲しくなった」後のいろはに対する、葉山のコメントを見て頂きたいです。

「……君はすごいな。そうやって周りの人間を変えていく。……いろはも、たぶんそうなんだろうな……」

9巻 pp.356.

葉山はいろはも八幡の影響を受けて変わった一人だと評しています。

どう変わったのかは、変わる以前の発言から逆算して、「いろはが愛されるために可愛い自分を演じなくなった」ということだと思います。

繕った自分が交わっても、そこで生まれるのは欺瞞の関係。仮初の感覚を拭うことは決してできませんし、どこか虚しさをいろはも感じていたのではないでしょうか。達観して「結果オーライなら良いじゃん」と割り切っていましたが、憧れを捨てきれなかったのではないでしょうか。

自分のペルソナを剥ぎ、本当の自分を相手にぶつけて、願わくば相手も本当の姿を自分にぶつけてほしい。そこで生まれたものこそ「本物」の関係なのだと。そんな「本物」が欲しいといろはは願ったと私は考えています。

以上から結論として、一色いろはの考える「本物」は「自分本来の姿で相手と交わった結果、生まれた関係や恋愛感情」だと私は解釈しています。

最後に発展的な内容になりますが、なぜいろははディスティニーランドで葉山に告白したかを考えていきたいと思います。ここからは完全なる私の想像になりますのでご容赦ください。

「本物が欲しく」なり、「今日踏み出そうと思った」いろは。しかしどうして葉山に告白することが「本物」を求めた結果の行動となったのか、「踏み出す」ことに繋がるのか、疑問に思って思考を巡らせてみました。

八幡も回想するように、あの場面でいろはが葉山に告白しても、成功する見込みはほぼゼロに近かったと思われます。いろはも「だってしょうがないじゃないですか。盛り上がっちゃたんだから」と言いつつ、それを承知の上で告白したことがうかがえます。

以上の情報と、これまでの解釈を総合した私の結論はこうです。

「『演じていた』いろはとしての告白、これまでの自分の精算」なのではないか。

葉山はいろはが最も恋心を抱いていた相手であることは確かです。そこで築いていた葉山との関係は、まさしく「演じる自分」の最たるものではないでしょうか。

それを「演じていた自分」として告白することで区切りをつけた。葉山と「演じていた自分」の間にできていた恋愛関係を、告白することで精算しようとした。そう考えています。

そして失恋後のいろはは、八幡に葉山を諦めない意志を見せており、一色いろは「本来の姿」で再挑戦するという意思表示ではないか、と私は解釈しました。

そう解釈した場合、「本物」=「自分本来の姿で相手と交わった結果、生まれた関係や恋愛感情」という解釈とも整合性がとれると思います。

長くなりましたが、第一の手記はここまでです。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

引き続き、マニュアルサイトの方もよろしくお願いします!聖地や最新グッズに関する情報など満載ですので、ぜひご覧になってみてください。

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